AWS Certified Solutions Architect - Associate試験に合格した話

AWS Certified Solutions Architect-Associate試験(以下、SAA)に合格しました。これから受験を検討される方や試験準備中の方のお役に立てればと思い、記録を残します。

ポイント

BlackbeltとUdemyの問題集を実施することで、SAA試験は合格できる。

まえがき

経験

IT業界に10年ほど身を置いており、システム開発(設計・コーディング・試験、プロジェクトマネジメント等)、提案業務などを実施してきておりますが、オンプレミスが主であり、パブリッククラウドを活用した経験はありません。一方、個人でAWSアカウントを作成して、マネジメントコンソールからVPCを作り、サブネットを作り、IGWにルートを向け、その中でMulti-AZ構成のEC2インスタンスを立ち上げ、AuroraをMulti-Region構成で立ち上げ…等ということをやっていると、オンプレミスで実行するのに相当な時間がかかったことを、AWSのリソースを使うことで簡単に実装できてしまうことに衝撃を受けました。「これはパブリッククラウドのことを知らなければならない」と遅ればせながら気がついた、ところです。

SAAを受験した理由

AWS Well-Architected Frameworkに沿って、AWSの基本的なサービスを組み合わせながらシステム設計を行うための基本を身に付けることができると考えたためです。

私の勉強方法

(3ヶ月前)AWS Certified Cloud Practitioner試験を目指す

この段階では、まだAWSが何の接頭語かも知らない状態でした。Cloud Practitionerは、AWSを利用するエンジニアに限らず、セールスやユーザ部門の方も受験の対象になっていることからも分かるように、AWSグローバルインフラストラクチャから始まり、各種AWSサービス(の主だったもの)がどういうものなのかの概要を掴むことができます。例えば、EC2やS3、RDSやLambdaと言った最重要サービスが何を示しているのか、です。すなわち、このフェーズは、AWSを使ってなにかしよう、というよりも、AWSの言葉に慣れ親しむ期間、と捉えて頂いてよろしいかと思います。

この意味で、SAAを取得する前段として、Cloud Practitioner認定資格を取得するしないに限らず、また、皆様の経験によらず、AWSの経験がない限りは、Cloud Practitionerの勉強を通してAWSがどういうものなのかの垣間見ることに意味はあると考えています。

私が参考にしたリソースは次のものでした。

なお、模擬試験問題集については基本レベル①、基本レベル②を2回程度解き、解説を理解するまで読み込むことで、合格ライン700点に対し、799点で合格しました。

(2ヶ月前〜1ヶ月前)Udemyのハンズオン講座を受ける

Cloud Practitioner認定試験に合格し、SAAを受験しようと決めてから(重要なのは、試験日をまだ決めていないことです)、SAAを目指す理由を考え直しました。"試験に合格することが目的なのか?"、"少しでも実務に役立つ知識を得た上で試験に合格するのか?"です。

私の場合は後者を目的としていたので、Udemyの講座を利用して、SAAの試験対象範囲になっている主要サービスを、実際にAWS Management Consoleから操作して学ぶことにしました。時間はかなりかかりますが(50h程度)、実際の画面を使ってサービスを動かしていく経験は重要であると考えています。

正直なところ、このハンズオン講座がSAA合格に直接作用したとはあまり考えていません。ですが、後述のBlackbeltを確認する上で、このハンズオンで手を動かした経験は、具体的に何をどこで設定すればいいのかをすぐに探し出せるようになったという点で役に立ったと考えています。

私が参考にしたリソースは次のものでした。

  • これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト試験突破講座

(4週間前〜2週間前)Blackbeltを見つつ、AWS公式問題に挑戦する

ここまで来ると、AWSの主要サービスが何を意味していて、どのようにすれば使えるのか、のイメージ(の掴み)が自分自身の中で持てている状態になります。ここで、AWSが提供しているBlackbelt Onlineを活用して、ハンズオンで得た知識を体系的なものに整理していきます。Blackbeltは、サービス別資料から参照することができます。

私が確認したBlackbelt Onlineは次のものでした。

Application Integration
Compute
  • EC2
Database
  • RDS
  • Aurora
  • ElastiCache
Management & Governance
  • CloudFormation
  • CloudWatch
  • Well-Architected Framework
  • CloudTrail
Networking & Content Delivery
  • CloudFront
  • ELB
  • Route 53 Resolver、Route 53 Hosted Zone
  • VPC
Security, Identity & Compliance
  • IAM
Storage
  • EBS
  • S3、S3 Glacier

ある程度、Blackbeltでの確認が終わったタイミングで、AWSのサンプル試験問題、および公式模擬試験に挑戦します。このとき、私の正答率はそれぞれ100%、80%でしたので、効率の面はさておいてもここまでの対策方法は正しいと判断し、受験日を決定しました。

私が参考にしたリソースは次のものでした。

  • AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト サンプル試験問題
  • AWS Practice Exams(AWS Solutions Architect - Associate Practice)

(〜試験前日)ひたすらUdemyの問題集を解いては間違えるを繰り返す

Udemyの問題集には、全6回分の問題(65問×6回=390問)が含まれています。最初の1回分が標準問題、残り5回分は細かい知識の確認ができるように構成されています。

ここで重要なのは正答率ではありません。合っていた問題も、間違っていた問題も、問題の論点をおさえ、直接的・間接的に必要とされる知識を再確認することにあります。例えば、EBSをマルチアタッチする際の条件は、(1)EC2インスタンスとEBSを同一AZ内に配置すること、(2)プロビジョンドIOPSで構成されていること、の2点です。ここから何を派生して考えられるかが重要なポイントであると思います。

私の場合、この手の問題が出たときに以下の点を考えながら知識を確認していきました。

  • EC2インスタンスを同一AZ内に配置し、その上にELBを配置した場合の可用性の問題点と解決策は何か。
  • ELBを設置し、その下にAuto Scalingグループを配置したとして、ELBとクライアントの間でHTTPS通信をする際に使う証明書の管理はどのサービスに任せられるのか。任せられないケース(自分で証明書を準備しなければ行けないケース)はどのような場合か?
  • プロビジョンドIOPSはどのようなワークロードに適しているのか?
  • プロビジョンドIOPS Express Blockの最大IOPSは幾つか?
  • コールドHDDのIOPSは幾つだったか?
  • 高耐久なストレージは何だったか?耐久性イレブンナインのストレージのこと。
  • S3はPUTのリクエストヘッダに特定の文字を入れておくと、それに基づいて暗号化をするな。どういう仕組みだったか?
  • オンプレミスのストレージを拡張するための仕組みは何だったか?
  • 大量データをAWSのワークロードに移行する際に使える仕組みには何があるか?

こうしたことを考えながら1つの問題を解いていくと、1つの問題から多くのことを学ぶことができます。解説を見てもわからないことは、AWSの公式ドキュメントを見ながら理解を深めていきます。

なお、Udemyの高難易度問題の正答率の目標は90%、標準問題は95%としていました。これらのボーダーをクリアしつつ、解説の読み込みを行うことを徹底しました。ただし、実際の試験においては65問のうち、統計情報の取得のみを目的とした採点対象外問題が数問含まれています。したがって、Udemyの問題の65問のうち72%取れるようになっていれば、実際にはボーダーの720点は超えている計算になります。ただし、72%の正答率があったとしても、それが720点にあたるとは限りません。問題の難易度によって、1問あたりの点数は変わってきます。つまり、簡単な問題を落とすと結構やばいということになりますが、他の受験者が解けないようなレベルの問題は落としても大勢に影響はないと言えるのではないでしょうか。

(試験前日)一番得点率の高い問題集を解く

試験前日には、新たに何かを覚えるということはやめました。その代わり、一番得点率の高い問題集をもう一度解いておくことで、試験に向けて良いメンタル状態に持っていくことにしました。一度解いたら、解説を読むこともしません。正答率だけ見てニンマリしておきます。

試験の結果

上記の対策により、合格ラインが720点に対し822点で合格しました。

まとめ

ポイントをまとめると次の通りになります。

  • まずは、Cloud Practitioner試験を受験することでAWSの取っ掛かりを得る。
  • Udemyのハンズオン講座を使い、AWSの実操作を行う(そんなにお金はかからないのでやっておいた方がいい)。
  • Blackbeltオンラインを読んで知識を体系的に整理する。
  • Udemyの演習問題を使い、目標とする正答率を意識しつつ、解説をひたすら読み込む。
  • 試験前日には、ポジティブなイメージを持てるようにする。

純粋な試験対策としての時間は1ヶ月程度しかかけていません。人によって試験対策にかかる時間はマチマチだと思いますが、サービスの組み合わせをAWS Well-Architected Frameworkの観点から評価したときにどうなのか、そのサービスの組み合わせは要求を満たせるのか、などという観点で勉強すれば合格できると思います。

次は、SysopsかDeveloperのAssociate資格を取ろうと思いますが、Sysopsはデモ環境での実技試験があるということなので、この範囲を絞れないようであればDeveloper試験を先に受けようかなと思っています。